遺言でできることは?

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遺言でできることは?

遺言ですることのできる行為として法律が定めているものは次の12種類です。
これ以外のことを遺言しても法律上の効力は認められません。

【身分に関する事項】 ①認知
②後見人の指定(民法839条)
自分が死亡すれば親権者がなくなる未成年の子がある場合に、その子の親代わりとなる者、及びそのものを監督するものを指定すること。
【相続に関する事項】 ③相続人の廃除および廃除の取り消し
④相続分の指定または指定の委託
⑤遺産分割方法の指定または指定の委託
⑥遺産分割の禁止(民法908条)
これによって相続開始後5年間まで遺産の分割を禁止することが可能となります。
⑦相続人間の担保責任の指定(民法914条)
⑧遺贈の減殺方法の指定(民法1034条)
⑨遺言執行者の指定または指定の委託
【財産処分に関する事項】 ⑩遺贈
⑪一般財団法人の定款の作成(一般社団・一般財団法人法152条2項)
⑫遺言信託(信託法3条2号)

以上のうち、①、③、⑩、⑪、⑫は生前行為でもできますが(遺贈は生前なら贈与となり少し扱いが違います)、それ以外は遺言でしかできません。

【補足】④相続分の指定または指定の委託

相続分の指定とは、遺言で法定相続分を変更することです。これは遺言でしかできません。相続人の一人または全員について、割合で指定するのが通常です。
相続人のうち一部の者の相続分だけ指定したときは、他の相続人の相続分は法定相続分によることになります(民法902条2項)。この場合指定のなかった相続人について争いになる可能性があるので、全員について指定することをお勧めしています。
また、遺産の一部だけを指定してもかまいませんが、全部について指定をしておいたほうがトラブルの予防になります。
相続分の指定は第三者に委託することもできます。
なお、相続分の指定が他の相続人の遺留分を侵害するときは、遺留分減殺請求の対象となることがあります。(民法902条1項但書)
一筆の土地を2人以上の相続人に与える場合には、予め分筆の登記をしておき、各人に一筆ずつ指定するのが得策です。

【補足】⑩遺贈

遺贈とは、遺言によって財産を無償で譲渡することです。
贈与と違い遺贈の場合は相続税で済み(相続税法1条)、贈与税より税金がずっと安いなどの違いがあります。
相続人以外に対して財産を譲る場合は、遺贈によるのが一番です。

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