株主総会の省略

今月18日、最高裁で「株式会社の退任取締役への退職慰労金についての判決(株式会社が株主総会の決議等を経ることなく退任取締役に支給された退職慰労金相当額の金員につき不当利得返還請求をすることが信義則に反せず権利の濫用に当たらないとした原審の判断に違法があるとされた事例) 」が出ました。(詳しくは裁判所のサイト参照)
中小企業ではよくある、株主総会の決議事項であっても大部分の株式を有する会社代表者の決済をもって株主総会の決議に代えていた会社のケースです。(判決では、退職慰労金請求権を有しないはずの退任取締役に対し、株主総会の決議はもとより会社代表者の決裁も経ないまま、退職慰労金を取得させるのと同様の結果となっています。)
判決を読んで怖いなと感じたのは、これまで問題にならなかったからといって法的に必要な手続きを行わないリスクの問題です。
その回避方法の一つとして、上場会社の子会社などでは頻繁に使われている『株主総会の決議・報告の省略』(会社法第319・320条)があります。形だけの株主総会と違い、中小企業の実態に一番合っている制度ですし定款の規定も不要です。この株主総会の決議省略は、実務上、定時株主総会でも可能とされており、議事録の押印も定款の規定にかかわらず議事録作成者のみです。(欠点として、取締役・監査役など選任決議では就任承諾書が別途必要になります。)新しい年度から活用してみてはいかがでしょうか。

【おわりに】
年の瀬になって、以下のような興味深い判決も続けて出ており、年が明けても、今後の展開から目が離せませんね。
・「衆院選の小選挙区で、議員1人当たりの有権者の格差(1票の格差)が最大2・30倍だったのは憲法違反」
(大阪高裁 H21.12.28)
・「追い出し屋被害、家主にも賠償責任」 (姫路簡裁 H21.12.22)

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