株式会社の減資という選択肢を考える

『資本金の額』は対外的に会社の信用度の目安とされているため減資手続きには財政状態が悪い“イメージ”が付きまといます。ただメリットから考えると、欠損金を消すことによる債務超過状態の回避や、利益のある会社であれば自社株取得による株主構成の変更のための原資とすることもできます。会社の規模・方法によっては、減資による税務上の大きなメリットが目的になることもありますね。
ちなみに減資の登記は、平成21年度は全国で4,134社、平成22年度も7月末迄は前年同様の数で推移しています。また最近の株式会社の新規設立は、統計によると半数が資本金300万円未満です。このような状況も踏まえて、減資という選択肢を考えてみるのはいかがでしょうか。
-必要となる手続き-
減資の手続きは、会社法第447条に定められています。必要となるのは、以下の手続き(基本)です。
① 株主総会の特別決議
1) 減少する資本金の額
2) 減少する資本金の額の全部または一部を準備金とするときは、その旨及び準備金とする額
3) 効力発生日
② 債権者保護手続き
債権者保護手続きは、官報による公告と知れている債権者への催告です(日刊紙等による例外あり)。公告する内容は、通常の中小企業は決算公告を行っていないので、a)資本金の額の減少の内容、b) 最終事業年度に係る貸借対照表の要旨の内容のダブル掲載が一般的です。
-一般的なスケジュール-
1 官報公告の申込(掲載希望日の2週間前)

2 官報公告及び個別の債権者に対する催告
▼ (効力発生日の前日までで1ヶ月間)
3 資本減少の効力発生日
▼ (2週間以内)
4 登記申請
株主総会の特別決議は、3の効力発生日までに行えば問題ありません。つまり1ヶ月の債権者保護手続きさえ終了していれば、(債権者の異議の問題はありますが)総会決議をもって減資の効力発生とすることができます。
ちなみに官報公告の費用は、資本金の額の減少と決算公告を同時に掲載する場合の一般的なもので、約12万円(税込)です。その他の実費・司法書士の手数料も含めると総額20万円以上かかります。こういった費用もかかりますが、攻めの減資をお考えの際はぜひご相談ください。

関連記事

  1. 相続登記をしよう
  2. 遺言執行者
  3. 相続放棄の熟慮期間の特例法の先
  4. 土地の贈与を受けたいのですが?
  5. 不動産の相続登記について
  6. 錯誤登記の手続きと費用について
  7. 自己破産と連帯保証人辞退について
  8. 委託業務の解除について

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


アーカイブ

PAGE TOP