遺産「再」分割

誰でも一生に何度かは「相続」という場面に遭遇することがあると思います。相続放棄の申述や相続税の申告のように手続に期限のあるものもあり、職業として「相続」に接する方以外で、「私は相続に慣れている」と自信を持って言うことのできる方は少ないでしょう。
また、遺言を残す方の数が増えてきたと言っても、まだまだ少数派。遺言を残す文化が根付いていないわが国では、相続開始後、法定相続人全員で遺産分割協議を行い、それぞれの相続分を決定することが多いのが現状です。と言っても誰もが不慣れな相続手続、専門家のアドバイス無しに協議をしてしまった場合など、先ほどの期限内にしなければいけない手続も含め、後で「こうしておけば良かった」と後悔することもあるでしょう。
ちなみに共同相続人間において遺産分割協議が成立した場合に、相続人の一人がその協議で負担した債務を履行しないときであっても、その債権を有する相続人は民法541条によってこの分割協議を解除することはできません。この場合、協議で定めた給付等を請求しうるのみです。
それでは遺産分割協議を合意解除することはどうでしょう。
共同相続人の全員が、既に成立した遺産分割協議の全部又は一部を合意により解除した上、改めて遺産分割協議をすることは、法律上当然に妨げられるものではない。
(最判平2・9・27民集44・6・995)
全員の合意による遺産分割の一部、全部の解除は可能です。この場合の合意解除後の遺産「再」分割による権利の移転は、税務当局に『贈与』と判断され、課税される可能性があるので注意が必要ですが、特定承継でなく、相続による権利の『一般承継』が意味を持つ場面もありますから、考えて利用することも必要ですね。

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