相続させたくない実子への対応は?

知人からの相談内容をそのまま記載します。どうぞよろしくお願いします。

知人は60代夫婦で、二人(長男・次男)の子供がおります。
長男は既に家庭を持っていて独立済みなのですが、次男はまだ独身です。
そろそろ結婚を考えて欲しいと思っていた矢先、現在交際中の相手がバツイチの年上女性ということが分かり、どうしても結婚を許せない気持ちだそうです。
次男を説得しましたが、話し合いが平行線のままで、断腸の思いで勘当する覚悟のようです。

そこで、万が一夫妻が死亡した際、次男に自分達の財産を渡したくない考えなのですが、現在取れる確実な手段を教えて欲しいのです。

相続放棄の手続きは被相続人の死後しか出来ないと聞きました。
遺留分は致し方ないのでしょうが、なるべく多くの財産を長男へ渡したいと悩んでいます。

どうぞお知恵をお貸し下さい。

ぱちほそさん (愛知県/36歳/女性)

こんにちは、司法書士 小林彰と申します。

遺留分を致し方ないとお考えであれば、
(1)次男さん以外に全ての財産を相続させる旨の遺言を残す
(2)遺留分を考慮した形での相続割合での遺言を残す(次男さんにも財産を残す)方法が考えられます。
(1)の場合、遺留分を侵害する遺言であっても無効でありませんし、相続発生後、次男さんが遺留分減殺請求をしてこなければそのままです。
分割のし難い不動産等だけでなく、現金や換金性の高い財産を残せるといざ請求された時に特によいですね。
(2)を選ぶとあまり今回の希望には合わないのかもしれません。
いずれにせよ、財産の額によって多少の費用がかかりますが、公証役場でのお手続きをお勧めします。

遺留分については、被相続人の生前にできる「遺留分の放棄」(民法1043条)という手続きもあります。
これは次男さんが家庭裁判所に手続きをし、裁判所の許可を得る必要があるので難しいかもしれません。

また民法第892条に『推定相続人の廃除』という規定があります。
要件(廃除事由)は、「被相続人に対する虐待・重大な侮辱、推定相続人の著しい非行」です。この相続人の廃除は被相続人が家庭裁判所に対して行います。遺言でもできます。
廃除された推定相続人は、相続人にはなれません。
ただ、今回のケースではこれには該当しないようですね。

これ以外にも方法は色々と考えられますが、まずは、突然の不幸に備えて遺言を残しましょう。

損をさせない司法書士 小林彰

評価・お礼

ぱちほそさん
生前に遺産放棄は出来なくとも遺留分放棄が出来るのですね!
小林先生のアドバイスを読んでいて、可能ならば、次男さんに遺留分放棄してもらい、夫妻夫々が長男へ相続させたい旨の遺言書を残すというのが良いように思われるのですが、遺留分放棄の裁判所の判断はどのようなケースだとOKしてもらえるのでしょうか?
次男の意思はさておき、代償分割は必ず必要ですか?(遺留分相当を渡すなら意味が無い気もしますが)

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