公証役場とは(渡瀬恒彦のアレです)

日本政府は5月29日の閣議で、2009年版の「高齢社会白書」を決定しました。2008年10月1日時点で、総人口に占める65歳以上の高齢者の割合は22.1%に達し、過去最高を更新、75歳以上の高齢者はなんと10.4%!初めて1割を超えました。本格的な高齢社会の到来です。

今回は、遺言や任意後見契約などでお世話になる、意外と知らない『公証役場』を取り上げます。

公証役場とは、公証人が執務する役場で、全国に300か所以上あります。営業時間は役所とほぼ同じです。

公証人とは、原則30年以上の実務経験を有する法律実務家の中から、法務大臣が任命する“公務員”のことで、(厳密には,国家公務員法上の公務員ではありませんが,実質的意義における公務員であり,刑法の文書偽造罪等や国家賠償法の適用については,公務員に当たるとされています。)そのほとんどは、経験豊富な法曹有資格者から任命されています。若い公証人を見かけない理由はここにあります。ちなみに、70歳で退職します。

国から給与や諸手当は支給されず、手数料収入の中から個人の負担により役場の維持費,書記の人件費等の経費を支出する個人事業主で、個人として国民健康保険に加入しています。手数料を払う利用者は、大切な「お客様」ですので当然お役所とは対応が違います。大都市の公証人の中には年収数千万円という方もいるそうです。

このような制度のため、公証人にも当然得手・不得手があり、どの公証人を選ぶかは、実はとても重要です。たとえば、海外の法人が東京に子会社を設立する場合、都内の公証役場でも、それを得意としている公証役場に行った方が、手続きも早く、必要書類も少なかったりします。(私は、事前に最寄りだけでなく、何ヵ所かの公証役場に連絡・確認してどこを使うかを決めています。)

【公証役場でできること】

公証役場では、公証人が大きく分けて、(1) 公正証書の作成、(2) 私署証書や会社等の定款に対する認証の付与、(3) 私署証書に対する確定日付の付与の3種類の執務を行います。

(1) 公正証書の作成の中には、「遺言」「離婚」「任意後見契約」「金銭消費貸借契約」などがあり、(2)の「認証」とは、会社等の定款認証などが代表的です。そして、(3)の確定日付の付与とは、私文書に確定日付を付与し、その日にその文書が存在したことを証明するものです。

○ 公正証書遺言

この手続きでは,公証人が遺言者との打ち合わせにより、遺言者にとって最善と思われる遺言書を作成していきます。

メリットは、①方式の不備で遺言が無効になることがない、②原本が公証役場に保管されるので,遺言書が破棄されたり,隠匿や改ざんをされたりする心配がない、デメリットは、やはり費用がかかることでしょう。

遺言に関しては、秘密証書遺言という公証人の関与する別の手続きもあります。こちらは最近お勧めしている遺言方法です。

○ 任意後見契約

任意後見契約とは、自分が元気なうちに,自分が信頼できる人を見つけて,その人との間で,もし自分の判断能力が衰えてきた場合には,自分に代わって,自分の財産管理をしたり,必要な契約締結等をして下さいとお願いし、これを引き受けてもらう契約です。これは、公正証書で契約しなければなりません。

○ 金銭消費貸借契約等公正証書

金銭の一定額の支払を内容とする公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているものは債務名義となり、執行力を有します。たとえば、金銭消費貸借で公正証書を作成し、上記の旨の記載をしておくと、借主が約束を守らなければ、直ちに差押えなどの強制執行をすることができます。(執行認諾証書と呼ばれ、一番使われる公正証書です。)

○ 確定日付の付与

債権譲渡の通知又は承諾によく使われますが、文書の作成の日付を実際の作成日より遡らせたりしたことによる紛争の発生をあらかじめ防止する効果があります。実務では、役員報酬を決定する議事録や質権の設定の契約書などに使われます。

公証人の手数料は、「公証人手数料令」という政令で決まっていますから、ぼったくられることはありません。しかも公証業務に関する相談は、無料です。

たとえば、確定日付の付与の手数料は、たった700円です。(同手続きは法務局でも可能です。)上記の使い方以外でも、色々と役に立ちます。確定日付のある証書は、訴訟等になった場合の証明手段として有効ですので、結果的に訴訟まで発展させず、問題を解決することができます。

これからは、迷ったり、困ったりしたときの相談先に、公証役場を加えてみてはいかがでしょうか。

使えるモノを有効に使う、これが一番の節約術です。

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