相続が開始する原因

相続は死亡によって、開始する。(民法第882条)
当たり前のように感じますが、旧民法では戸主の隠居による家督相続という生前相続(旧民法964条ほか)が認められていましたから、歴史を振り返るとちゃんと意味があるんです。ちなみにこの死亡には次のような態様があります。
死亡
①自然死亡
②失踪宣告
普通失踪
(擬制死亡) 特別失踪

① 自然死亡(老衰、病気、事故等による死亡)
この場合は当然に相続が開始し、具体的な時期は通常、死亡診断書や死体検案書に記載された「死亡の年月日時分」です。脳死についてはいまだ争いがあります。
② 失踪の宣告を受けたとき (民法第30条、31条)
普通失踪については7年の期間を経過した時に、特別失踪(危難失踪)については危難が去った時にそれぞれ死亡したものとみなされます。その時点で相続が開始します。
このほか水難、火災その他の事変によって死亡したとみられるが死体が確認できない場合には、その取調べをした官公署は死亡地の市町村長に死亡の報告をしなければならならない(戸籍法第89条)とされており、それに基づいて戸籍に死亡の旨が記載されます。この取り扱いを実務上「認定死亡」といい、この場合も認定されたところに従い、死亡の事実及び時期が事実上推定され相続が開始します。
【認定死亡の場合の戸籍記載例】  (戸籍のコンピュータ化前)
平成六年参月拾壱日推定午後参時千葉県安房郡和田町沖で死亡 同月拾弐日千倉警察署長報告同月拾参日和田町長から送付除籍(印)
また法務省は6月7日、東日本大震災の行方不明者の死亡を市町村の判断で認定、開始できる決定を示しました。これは通常死亡届を提出する際に添付する死亡診断書をチェックシート型の申述書で代えることができようにするもので、遺体が発見されていない方についても,死亡届が提出できるようになります。これは前記の認定死亡ではなく、特別失踪の特例としての死亡の認定のようですね。
これにより死亡届が受理されると、相続が発生します。
また一時話題になった「高齢者消除」という取扱いがあります。これは所在不明高齢者について、一定の要件のもとに死亡の愕然性が高いと判断される場合には、市区村長が法務局又は地方法務局長の許可を得て、職権で死亡を原因として戸籍から消除するものです。ただこれはあくまで行政措置であって、失踪宣告のような法的効果が生じるものではなく、不動産の相続登記をするには改めて死亡の日または失踪宣告により死亡とみなされる日が戸籍に記載された後でなければその戸籍謄本をもって相続の手続きをすることはできないのが特徴です。

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