非嫡出子と相続

民法(法定相続分)
第900条  同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
① 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1とする。
②③ (省略)
④ 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする。
民法900条は、法律上結婚していない男女間に生まれた子供(非嫡出子)が遺産相続する場合、その相続分は法律上の夫婦間の子供(=嫡出子)の2分の1とする旨、規定しています。この民法の規定が、憲法の規定する「法の下の平等」に反するか否かについて、いままでいくつもの裁判で争われてきましたが、平成16年に最高裁が、「合憲」と判断したため法改正までの動きはありませんでした。そして平成23年8月、大阪高等裁判所が、この民法の規定について「違憲」とする決定をし、それが確定しました。最高裁ではなく高裁ではありますが、社会状況が大きく変わった昨今を受け、今後の民法改正に拍車がかかるか見ものですね。
実はつい先日、ドキッとする場面に遭遇しました。非嫡出子が5名いるはずの未婚の母Aの相続のため戸籍書類を調査していたところ、死亡から出生に遡る除籍・改製原戸籍を全て確認しても「子」の記載が一つもなかったのです。
非嫡出子は、母については、その認知を待たずに、分娩の事実により法律上の親子関係が生じる(最判昭37.4.27)ので、通常母と同じ戸籍に「子」として記載されたはずなのですが全く無いのです。不審に思い関係者から事情を聞き、(未婚の)父の戸籍を調べてみたところ、ありました。
父と同じ戸籍の「子」の出生事項中に「(本籍地)○○母A」との記載。被相続人の戸籍だけで法定相続人の特定が全くできないケースは初めてだったので、管轄法務局に未婚の母と父の戸籍を併せて法定相続人を特定する戸籍書類とすることが可能かを連絡したところ、FAXで戸籍を確認させて欲しいとの返事。その後OKとの連絡をもらいました。法務局の調査担当曰く、ごくまれなケースらしいですがたまにあるそうです。歴史の長い相続手続き、奥が深いです。

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