なぜ上がった!?固定資産評価額
3月決算の法人の税務の申告期限を迎え、慌ただしく今月から新年度も始まり、世間は「定額給付金」や「高速道路料金値下げ」などの話題で賑わっています。
そんな中、不動産業者さんからは、こんな不満の声が多く上がっています。
『こんなご時勢なのに、平成21年度の土地の固定資産評価額はどうしてこんなに上がったんだ!』
毎年4月1日は、不動産登記実務にとって2つの重要な切り替えのポイントです。
一つは、新しい年度の税金の減税措置などの法律がどう変わったかという点、もう一つは、所有権移転登記の登録免許税の算定の基準となる新年度の『固定資産評価額』がどう変わったかです。
平成21年度は、3年に一度の固定資産評価の評価替えの年です。世間は、「100年に一度の大不況」、「未曽有の経済危機」と騒ぎ、景気が良い実感はありません。
しかし、東京都内はもとより、全国的に固定資産の評価額は平成21年度になって上昇しています。
以下は実際に確認した上昇率の例ですが、今のところ下落地域には遭遇していません(変化なしはあり)。
① 東京都文京区内 のある土地 前年比 152.08%
② 名古屋市内 のある土地 前年比 112.69%
③ 埼玉県川越市内 のある土地 前年比 103.73%
今回の評価替えの価格調査基準日は、平成20年1月1日ですが、それ以降一部の地域で地価が下落傾向を示していたため、平成20年7月1日までの地価の下落を反映させて、評価の均衡化・適正化を図っていると発表がされています。とは言うものの、平成18年以降の地価の上昇が固定資産の評価替えに影響を及ぼしたため、ほぼ全域で土地の評価額が上昇したようです。
なお、平成20年7月1日以降、引き続き地価が下落している地域については、平成22・23年度において平成21年度の評価額を下落修正することができることとなっているようです。
土地の所有権移転登記(相続を除く)の登録免許税は、固定資産評価額の2%(登記原因が売買の場合、平成23年3月末までは1%)、相続の場合は0.4%ですが、固定資産評価額が大きいと税額も高額になります。
売買や相続だけでなく、夫婦間の贈与による所有権移転をお考えの方も、こういった事情も考慮してみるとトータルでお得になるかもしれませんね。