そうだ、遺言を書こう!
最近、相続関連の相談・依頼(登記に限らず)の数が増加傾向にあります。それも被相続人が亡くなってすぐ(1、2ヶ月くらい)というケースが増えています。不景気の影響からか、それとも一般の方の相続についての関心・知識が増えてきたからなのでしょうか。
政権与党が民主党となり、今後の相続税制がどう変わっていくかはまだまだわかりませんが、少子高齢化の日本だけに、相続に対する意識は今後ますます高まっていくと考えられます。
なかでも、相続が開始する前に、被相続人自身が自分の相続の準備をすることができる、『遺言』制度の利用はますます増加していくことでしょう。
ちなみに、数種類ある遺言方法の中で一番利用件数が多いのは、手間とお金がかからない自筆証書遺言です。
件数は、家庭裁判所での遺言書の検認手続の統計ぐらいでしか確認することができませんが、ここ5年間で約14%、10年前と比較すると約35%と増加の一途をたどっています。(20年以上前と比べると400%以上ですが、当時とは家族の概念が違ってきているので一概に比べられません。)
年次 昭和60 平成11 平成16 平成19 平成20
件数 3,301 9,818 11,662 12,595 13,309
(遺言書の検認数 司法統計より)
遺言公正証書の作成件数も同様に増加しており,平成元年に約4万1000件であったものが,同17年には約6万9000件と,17年間で約40パーセントも増加しています。
自筆証書遺言
○簡単に作成できる、費用がかからない、遺言書の内容と作成を秘密にできる
●方式不備で無効・解釈で問題となるおそれ、紛失改ざんのおそれ・発見されないおそれがある、検認が必要
公正証書遺言
○方式不備で無効・紛失や改ざんのおそれがない、相続人が遺言を検索できる、検認が不要
●手間と費用がかかる
公正証書遺言は、内容の実現性は高いですが、年間10件前後は無効とする裁判所の判断があるそうです。多くの銀行はそれを受けて、公正証書遺言があっても、預金の解約に法定相続人全員の押印と印鑑証明書を求めます。
どの形式であれ、遺言は生前であればいつでも取消し、変更することもできますので、相続はもめるものと考え、まずは自筆証書遺言から始めてみてはいかがでしょうか。