相続放棄の熟慮期間の特例法の先
今心配なことに、東日本大震災で被災された方々が相続についての手続きをされているのかということがあります。
今年6月の『知識のチ・カ・ラ』でも取り上げました東日本大震災の被災者の方の相続放棄の熟慮期間(3か月の相続の承認又は放棄をすべき期間)の特例法による延長が本日、11月30日で満了しました。相続するかどうか未定の場合でも、同日までに期限の延長を申し立てることができましたが、実際どの程度の人が手続きできたのでしょうか。
盛岡家裁によると、県内では震災が発生した3月11日から11月21日までに、1599件の相続放棄の申し立てがあり、昨年同期より512件も増えた。(2011年11月30日 読売新聞より)
盛岡家裁では昨年の1.5倍の相続放棄の申述の申立があったようですが、あくまで氷山の一角でしょう。
相続放棄又は限定承認をしなかったときは,単純承認をしたものとみなされ、被相続人の財産と借金等の債務を「全て」引き継ぐことになります。マイナスが多い場合、間違いなく復興の足かせになると思います。裁判所にはこの特例法の延長熟慮期間の満了後も相続放棄の申述について柔軟な対応を期待したいものです。こういう時こそ我々専門家も知恵と力を発揮しなければなりません。