中間省略と相続登記
平成17年3月の不動産登記法の改正により、以前に『中間省略登記』と言われていた登記申請ができなくなりました。一部の例外を除き、「登記の原因となる事実又は法律行為に関する『登記原因証明情報』」の添付が必須となったためです。これにより中間者に一旦権利が移ったことが法務局に明らかになるので、まずその移転登記をやりなさいってことになるわけです。(別の手法で対応は可能です。)
それでは、例えば登記名義人父Aの死亡により、子B及びCが共同相続したものの、その相続登記未了の間に、
B及びCが死亡した場合、“直接”登記名義人Aから最終の相続人甲又は乙(孫)のために相続による所有権移転登記ができるでしょうか?
結論から言うと、『最初及び中間の相続が“単独相続“である場合に限り、登記原因及びその日付を連記して登記名義人から最終の相続人名義に”直接“相続登記を申請することができます。』
この最初、中間の単独相続には、遺産分割、相続放棄などによる単独相続も含まれます。
例題は、Aの死亡による相続人はB及びCでしたが、その相続登記をする前にB及びCが亡くなったケースです。Aの第1次相続について、Bが相続放棄をしたときや特別受益により相続分がないときは、Aの遺産の全てをCが相続しますので、その場合にはAから直接乙名義に中間省略で相続登記ができます。(甲(Aの相続人)、乙(Bの相続人)間で乙の単独所有の遺産分割協議が成立した場合も含む。)
中間の相続登記を省略できると、当事者にとって登録免許税など便宜なので使えるのなら利用したいですね。
ちなみに登記簿には、以下のように記載されます。
権利者その他の事項
原因 平成○○年○月○日 A相続
平成○○年○月○日 相続
所有者 (↑※上はA下はCの相続開始日)
東京都大田区○○ 乙
通常の売買等による中間省略登記を認めず相続による中間省略登記を限定的に認めているのは、相続登記の性質上(誰が相続人であるのかは戸籍を調べれば分かる)、公示上の混乱をきたさないからのようです。