公正証書遺言のあれこれ
<問題> 耳が聞こえない人や口がきけない人も公正証書遺言をすることができるか?
公正証書遺言は、公証人の作成する公正証書によってする遺言で、①証人2人以上が立ち会い、②遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授(くじゅ)し、③公証人が遺言者の口授を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ又は閲覧させ、④遺言者及び証人が筆記の正確なことを承認し、各自がこれに署名押印した上、⑤公証人が法定の方式に従って作成した旨を付記して署名押印することにより成立します(民法第969条)。この方式に違反した公正証書遺言は無効です。
従前、遺言者の公証人への「口授」と公証人の遺言者への「読みきかせ」が厳格に要求されていたため、聴覚・言語機能障害者は公正証書遺言をすることができないと考えられていました。それが平成12年1月8日施行の民法の一部改正により変わり、口がきけない方や耳が聞こえない方でも公正証書遺言ができるようになったのです。
民法(公正証書遺言の方式の特則)
第969条の2 口がきけない者が公正証書によって遺言をする場合には、遺言者は、公証人及び証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述し、又は自書して、前条第二号の口授に代えなければならない。この場合における同条第三号の規定の適用については、同号中「口述」とあるのは、「通訳人の通訳による申述又は自書」とする。
2 前条の遺言者又は証人が耳が聞こえない者である場合には、公証人は、同条第三号に規定する筆記した内容を通訳人の通訳により遺言者又は証人に伝えて、同号の読み聞かせに代えることができる。 (以下 省略)
ちなみに公正証書は、日本語で作成するとされています。
(公証人法)
第二十七条 公証人ハ日本語ヲ用ウル証書ニ非サレハ之ヲ作成スルコトヲ得ス
ボーダーレスの現在、在日外国人の方も日本の民法の方式に従って公正証書遺言をすることがきますが、日本語を話せない場合通訳が立ち合います。全く分からない言語だと、ちょっと心配な気もしますよね..