増加する「競売」と「任意売却」

2007年のサブプライムローン問題に端を発したリーマン・ショックから回復できず、未だ日本経済は停滞したままです。その中で活気のあるのが競売・任意売却市場です。かつて「遅い、安い、危険」が特徴であった不動産競売も、最近では法改正も手伝い「早い、高い、安全」な手続きになってきました。ちなみに(担保権の実行としての)競売の申立件数は、2008、2009年と6万件を超えています。(新設住宅着工戸数は08年が103万9180戸、09年が77万5277戸。)
競売の増加に伴い、競売より「早期に多額の」回収が可能な任意売却も増加しています。競売を申立て、代金納付までに任意売却をして取下げるケースも多いようです。
競  売 任意売却
時価の6~7割(①) 売買される金額 ①と時価の間
配当まで7~12ヶ月 期       間 大体6ヶ月程
当然、所有者が任意売却に応じない場合や所在不明の場合、担保権利者等利害関係人の協力が得られない場合は競売を選択せざるを得ませんが、そのようなケースでない限り任意売却を選択した方が得なことが多いでしょう。ただ、市場拡大で、ろくなノウハウもなく相談手数料のみを掠め取るような悪徳業者も増えてきているので注意が必要です。
現政府の景気対策により金融機関のスタンスは「回収から延命へ」とシフトしていますが、緊急保障や時限立法はいつか終わります。金融機関が優しいのはその時までです。

【 本当に得する情報は他人には教えません!よね】
『「カラオケ著作権」の譲渡に関するトラブルにご注意!』
(事例)カラオケ市場でのロイヤリティが配分されると説明された。
世界のカラオケ市場で毎年20兆円のロイヤリティが発生しており、著作権を買い取ることで毎年60万円のロイヤリティが配分されると説明を受けたが、書類をよく見ると、カラオケを発明した人の言語の著作物の2万分の1の著作権譲り受け書となっており、カラオケ市場とは関係ないことが分かった。解約を希望。
(相談受付年月:2010年7月、契約当事者:70歳代男性、大阪)
(平成22年10月21日消費者庁・国民生活センター発表資料より)
この事案では被害者全体の約8割を60歳以上が占めており、被害額(支払い前の相談を含む)は平均約130万円、エリアとしては近畿地方が全体の7割だそうです。
以下の表が示すように高齢者の被害は近年また増加しています。高齢者の持つ3つの不安「お金」「健康」「孤独」を悪質業者は言葉巧みにあおり、親切にして信用させ、大切な財産を狙ってきます。高齢者は在宅時間が長いので訪問販売や電話勧誘販売による被害が多いのも特徴です。
年度別相談件数 販売方法・手口別件数(2009年度)
2009年度 122,053件 1.家庭訪販 20,127件(16.5%)
2008年度 115,480件 2.電話勧誘販売 12,655件(10.4%)
2007年度 109,100件 3.次々販売 4,876件 (4.0%)
2006年度 134,830件 4.利殖商法 3,824件 (3.1%)
2005年度 139,560件 5.販売目的隠匿 2,974件 (2.4%)
(契約当事者が70歳以上。2010年5月末日までの登録分)
高齢者に限らず最近多いのは第4位の利殖商法、その中でも『未公開株商法』と『社債商法』のようです。また、『合同会社の社員権を販売する』というケースも出てきているようです。少しでも不可解な点があれば早めに専門家に相談する、また相談できる専門家を作っておくことも大切です。
こういった悪徳商法の被害に遭う方(特に高齢者)は周囲に相談したり、チェックしたりしてくれる相手がいないことがほとんどです。成年後見業務に取り組む司法書士に限らず、周囲の人、地域、遠くに住む親族が全員でケアしていく必要がありますね。
悩んだ時にはまずご相談を!お気軽にご連絡ください。

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