そうだ、公証人役場に行こう

今月10日、法人税の申告手続きに絡み、公証人に虚偽の公正証書を作成させたとして、東京地検特捜部は公正証書原本不実記載などの容疑で税理士を含み3名の容疑者を逮捕しました。東京都港区の公証人役場で、経理担当者が会社に与えた損害について、実際より過大な損害額を公証人に説明し、虚偽の公正証書を作成させた容疑だそうです。関係者によると、損害を水増しすることで、会社の法人税を圧縮しようとしたと疑いがあるそうです。
こういう事件が新聞に出ると、断片的なイメージで公証人役場に嫌な印象を持たれる方が若干増えたります。私の業務では公証人役場はとてもよく利用するので、今回は公証人役場がどんなところかお話ししたいと思います。
-公証人役場とは-
公証人が執務する役場で、全国に300か所以上ある。営業時間は役所とほぼ同じ。公証人とは、原則30年以上の実務経験を有する法律実務家の中から、法務大臣が任命する“公務員”のことで、(実質的意義における公務員であり,刑法の文書偽造罪等や国家賠償法の適用については,公務員に当たるとされている)そのほとんどは、経験豊富な法曹有資格者から任命されます。若い公証人を見かけない理由はここにあります。ちなみに70歳で退職します。
公証人役場では、大きく分けて公証人が、(1) 公正証書の作成、(2) 私署証書や会社等の定款に対する認証の付与、(3) 私署証書に対する確定日付の付与の3種類の執務を行います。最近は『遺言公正証書の作成』が一番有名ですね。私も公証役場での手続は、遺言公正証書の作成のお手伝いと会社・法人の定款認証がほとんどです。
「任意後見契約公正証書」「規約設定公正証書」など法律上公正証書で作成しないと効力を生じないものもあります。
 最近、家賃・地代の未納や貸金・売掛金の未収の相談を多く受けます。払うと口では言っているけど結局...
そういう時、実は公証人役場が使えます。例えば契約や不法行為などによって生じた債務を債務者が確認しその履行を約する債務弁済契約を公正証書で結びます。一定額の金銭の支払を内容とする公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているものは債務名義となり、債務者が約束を守らなければ、直ちに差押えなどの強制執行をすることができます。(執行認諾証書と呼ばれ、一番使われる公正証書です。)多少費用はかかりますが選択肢の一つとして上手に使っていきたいですね。

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