富士通の取締役の辞任問題を考える

最近の話題の一つに、富士通の社長辞任問題があります。平成21年9月25日に病気を理由に辞任したとされていた野副前代表取締役社長が辞任から5カ月たって、同社の取締役らに「辞任取消通知書」を送付したという事件です。
株式会社の取締役と会社の関係は委任関係であり、取締役はいつでも辞任することができ、会社への意思表示と同時にその効力が発生します。(取締役の権利義務は別問題)なお辞任は、相手方のある単独行為とされています。単独行為であっても普通の契約関係で適用される錯誤や詐欺、脅迫による無効や取消しの余地はあるとされています。某記事によると、野副前社長の代理人は「富士通の上場廃止といった虚偽の事実」の告知による辞任の意思表示を取消す(民法96条)としているそうです。通常の契約関係の取消しを利害関係人の多い取締役の辞任にそのまま適用していいものかと疑問もありますが当初の辞任理由のプレリリースの影響も含め今後も展開が楽しみです。
富士通側は、最高実力者とされる秋草取締役相談役の6月末での取締役退任人事を発表、一連の騒動について同氏の退任で一定の区切りを付ける狙いがあるようですね。

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