相続法の歴史

私が最近扱っている案件で、被相続人が昭和55年に亡くなった、相続開始がだいぶ昔の登記案件があります。
ここでピーンときた方は相当な相続通ですね。
実は現行民法における法定相続分等は、昭和55年の改正法の施行(昭和56年1月1日)以降に開始した相続から適用されています。つまり昭和55年はちょうど境の年、現行民法の改正前の法定相続分で考えないといけません。ちなみに現行と改正前の法定相続分の違いは次のとおりです。
S23.1.1~S55.12.31 共同相続人 現行(S56.1.1~)
配偶者  1/3
子   2/3 配偶者と
子 配偶者  1/2
 子   1/2
配偶者  1/2
直系尊属 1/2 配偶者と
直系尊属 配偶者  2/3
直系尊属 1/3
配偶者  2/3
兄弟姉妹 1/3 配偶者と
兄弟姉妹 配偶者  3/4
兄弟姉妹 1/4
昭和55年の改正法までは配偶者の相続分が少なかったのが特徴です。また現行民法では兄弟姉妹の孫以下に再代襲は認められていませんが昭和56年1月1日前に開始した相続では兄弟姉妹の子の直系卑属も代襲相続人です。
なお、同順位の血族相続人が複数いるときは各々の相続分が等しい点、被相続人の非嫡出子の相続分は嫡出子の1/2、被相続人といわゆる半血の兄弟姉妹は全血の兄弟姉妹の相続分の1/2な点は改正前後でも変わりません。
かつて「家」を中心としていた日本の親族・相続の各制度は、昭和22年5月3日の日本国憲法施行を境に大変革を遂げました。その前後の相続でも適用法に注意が必要です。
旧民法 明治31.7.16~昭和22.5.2
応急措置法 昭和22.5.3~昭和22.12.31
現行民法(改正含む) 昭和23.1.1.~現在
※上記が全てではなく一部特則もあるので要注意
相続登記には法定の期限がないため相当古い相続を放置しているケースが多々あります。また戸籍については古いものは読み解くこと自体が相当困難なケースも。
こんな知識も知っておくと役に立つかもしれませんね。

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